王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
 第二王宮も煌びやかだと思っていたけど、さらに明るさを感じる。
 ステンドグラスを多く使った彩ある窓は神聖さと荘厳さがすごい。
 まさに歴史溢れる権威ある宮殿という様子で、私を圧倒した。

「こっちだ」

 レオに手招きされて、エルミア様の部屋へ入る。
 ベッドにはレオによく似た青色の髪の少女が眠っていた。
 眠っているから幼く見えているのかもしれないが、20歳にも満たないような年に見える。
 ただ、なんとなく少女からは禍々しい雰囲気を感じた。

「どうだ?」
「はい、確かに胸のあたりを中心によくない雰囲気の気配を感じます」
「祓えそうか?」
「やってみます」

 私はなんとか記憶を頼りに思い出した、聖女の力である祓いのまじないを唱えてみる。
 大きく息を吸って、両手を合わせて祈り始めた。

 段々自分の中にあたたかい力の気配を感じて、それを意識的に大きくしようと頑張る。
 自分の中で最大限に大きくなった瞬間に、私は唱えた。

「穢れよ、消えよ」

 自分の中の力をエルミア様に解き放つイメージ。
 目を開けたその瞬間、私の中で増幅された力がベッドで眠る彼女に向かっていった。

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