王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~

第26話 揺れる心と、決意(1)

 アルベルト経由でレオからの伝言を聞いた私たちは、国王より遠征許可をもらってコーデリア国へと向かった。
 私は向かう馬車の中でもそわそわして落ち着かなかった。
 でも、それがどうやらユリウス様にも伝わっていたようで、「大丈夫だよ」と声をかけられる。
 彼の声は優しくて、私を安心させてくれるような、そんな気がした。

 コーデリア国の王宮に着くと、盛大な出迎えをもらった。
 以前さらわれてきたときとは待遇が違って、正式な国賓──正しくは第一王子の友人としての招きとして、歓迎を受ける。
 国賓をもてなすであろう少し広めの部屋に通され、私達は席に着く。

「よく来てくれた」
「こちらこそ、お招きいただき感謝いたします」
「ディナーでもないし、大したもてなしもできなかったが、気に入ってくれただろうか」
「すごくおいしかったです!」

 ここの着いたときにまずは、といった様子で食事を出された。
 少し早めの晩餐会といった感じでフルコースが提供されたのだが、クリシュト国とはまた違う海鮮をふんだんに使った食事。
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