王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
第28話 平和で懐かしい日常
「何よ、そんなに部屋をじろじろ見て」
「いや、ううん。なんでもない」
あまりの懐かしさと嬉しさで台所、リビング、テレビ、タンス……様々なものを見てしまう。
向こうとはまるで違ったその全てに、なんだか不思議な気分。
こっちが今まで私が馴染んでいた世界だっていうのに、なんだかそうじゃない気がして。
テレビの前にあるローテーブルの横に置かれた座布団に腰かけると、落ち着いてため息が漏れる。
「何よ、そんなおっさんみたいな声だして」
「ごめん、ごめん! なんだか懐かしくて」
「今朝までいたじゃないのよ」
「そうだよね……そうなんだよね」
私は面白おかしくなって大きな声で笑ってしまう。
ああ、いつものお母さんだ……。
お茶を入れて私の目の前に置くと、その足でせわしなく台所に戻る。
目の前のそれに視線を移すと、氷が3つ入ってあった。
私が冷たいものが好きでいつも入れてくれる、そんなお母さんの優しさを感じてちょっと微笑む。
ありがたくそのお茶を飲むと、先程まで飲んでいた紅茶とは違うなんというか庶民的で慣れた味。
「いや、ううん。なんでもない」
あまりの懐かしさと嬉しさで台所、リビング、テレビ、タンス……様々なものを見てしまう。
向こうとはまるで違ったその全てに、なんだか不思議な気分。
こっちが今まで私が馴染んでいた世界だっていうのに、なんだかそうじゃない気がして。
テレビの前にあるローテーブルの横に置かれた座布団に腰かけると、落ち着いてため息が漏れる。
「何よ、そんなおっさんみたいな声だして」
「ごめん、ごめん! なんだか懐かしくて」
「今朝までいたじゃないのよ」
「そうだよね……そうなんだよね」
私は面白おかしくなって大きな声で笑ってしまう。
ああ、いつものお母さんだ……。
お茶を入れて私の目の前に置くと、その足でせわしなく台所に戻る。
目の前のそれに視線を移すと、氷が3つ入ってあった。
私が冷たいものが好きでいつも入れてくれる、そんなお母さんの優しさを感じてちょっと微笑む。
ありがたくそのお茶を飲むと、先程まで飲んでいた紅茶とは違うなんというか庶民的で慣れた味。