王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
考え込む私の意識を戻すように、テーブルに置いてあった携帯のバイブレーションが鳴る。
手に取って画面を見ると、そこにはまきちゃんの名前。
「まきちゃん……?」
私は慌てて通話に出ると、いつもの元気な声が聞こえてくる。
「あ、友里恵? 元気にしてた?」
その親友の懐かしい声に、再び苦しくなる。
ずっと、声が聴きたかった。
「うん、元気だった」
何年振りにも感じるけど、まきちゃんにしたら一週間なんだよね。
涙を彼女に悟られないように拭う。
「あのさ、なんかやっぱり寂しいね」
「学校ないと会えないからね」
「明日とかってあいてる? 遊べたりする?」
「あーちょっと待って?」
私は耳から携帯を外すと、お母さんに声をかける。
「お母さん! 明日、まきちゃんと遊んできていい!?」
「いいわよ~あ、夜には戻ってね!」
「は~い!」
返事をしてまきちゃんにも大丈夫と言った──
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【ちょっと一言コーナー】
まきちゃんも登場でした~!
親友の存在っていいですよね。
【次回予告】