王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
(執事長? 初めて見る顔。それに聖女様? なんのことだ?)
そう考えているうちに執事長はメイドに背を向けながらソーサーの下に何か手紙を挟んできた。
(──? 手紙? 『あなたは第一王子を愛していますか? YESならため息をひとつ。NOならあくびをひとつ』? 第一王子……? まさか……)
この違和感には覚えがあった。
現王妃様側の人間は皆おそらく第一王子を「王太子」と呼んでいた。
つまり、エリク様を第一王子と呼んだということは元王妃様側の人間……。
私はそっと手を当てて一つあくびをした。
すると、さらに執事長は今度手紙を自分の身体の前で広げてそっと私に見せた。
(『王宮書庫室で明日お待ちしております』)
私はため息を一つ吐いてYESの合図をすると、満足そうに笑みを浮かべて執事長は去っていった。
明日は王妃様と第一王子が外出する日だった──
そう考えているうちに執事長はメイドに背を向けながらソーサーの下に何か手紙を挟んできた。
(──? 手紙? 『あなたは第一王子を愛していますか? YESならため息をひとつ。NOならあくびをひとつ』? 第一王子……? まさか……)
この違和感には覚えがあった。
現王妃様側の人間は皆おそらく第一王子を「王太子」と呼んでいた。
つまり、エリク様を第一王子と呼んだということは元王妃様側の人間……。
私はそっと手を当てて一つあくびをした。
すると、さらに執事長は今度手紙を自分の身体の前で広げてそっと私に見せた。
(『王宮書庫室で明日お待ちしております』)
私はため息を一つ吐いてYESの合図をすると、満足そうに笑みを浮かべて執事長は去っていった。
明日は王妃様と第一王子が外出する日だった──