王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
 そう言っていてなんだか自分自身で悲しくなる。
 愛してほしいなんて思っていないけど、私が捧げた一年は一体なんだったのだろうかとは思ってしまうほどにはなっていた。

「それと、そろそろリアが何か不審がっている様子が見られるのでこれ以上風邪での休みや不用意な移動は避ける方がよいかもしれません」
「そうですね。こちらとしてはかなり証拠が集まってきたので、あなたはいつも通りの生活に戻ってください」
「わかりました」
「緊急度の高い事案発生や何か新しい情報を仕入れた際のみお手紙をください」
「かしこまりました」

 こうして限られた時間の中で王妃をどのように王宮から追放するか、エリク様へどのような罪を与えるかの会議がおこなわれた。
< 27 / 167 >

この作品をシェア

pagetop