王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
「さむっ!」
外はかなり寒くなってきており、風がほっぺにあたって痛い。
そんな心の叫びを聞いていたのか後ろから声をかけられた。
「リーディア?」
振り返るとそこにはユリウスがおり、彼もいつもと違って少しラフな格好をしていた。
「ユリウス様っ!」
「寒い中どうしたんですか、こんなところで」
「いえ、その。この木を見ていると懐かしくなって……」
そう言いながら私は微かに残る秋の葉っぱが揺れるのを眺めていた。
「ここは私のお気に入りの場所で、この木を見るとなんだか落ち着くのです」
そっと木の幹に触れると、目を閉じてユリウス様は語り始めた。
「この木は『聖樹』と呼ばれる王家の宝の一つです。初代の聖女が植えた神々しい木で、名前を“サクラ”というそうです」
「えっ?」
外はかなり寒くなってきており、風がほっぺにあたって痛い。
そんな心の叫びを聞いていたのか後ろから声をかけられた。
「リーディア?」
振り返るとそこにはユリウスがおり、彼もいつもと違って少しラフな格好をしていた。
「ユリウス様っ!」
「寒い中どうしたんですか、こんなところで」
「いえ、その。この木を見ていると懐かしくなって……」
そう言いながら私は微かに残る秋の葉っぱが揺れるのを眺めていた。
「ここは私のお気に入りの場所で、この木を見るとなんだか落ち着くのです」
そっと木の幹に触れると、目を閉じてユリウス様は語り始めた。
「この木は『聖樹』と呼ばれる王家の宝の一つです。初代の聖女が植えた神々しい木で、名前を“サクラ”というそうです」
「えっ?」