王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
サクラってあの『桜』?
「サクラはこの国でよくある木ですか?」
「いいえ、この国どころか、この世界には他にない唯一無二の木らしいです」
「──っ!」
それってこの木が聖女によって植えられた……つまり現代から持ち込まれたものの可能性がある?
「その“サクラ”はもしかして春に淡いピンクの小さな花を咲かせますか?」
「おや、リーディア。よくご存じですね、聖女様だからでしょうか」
やっぱりっ!
間違いない。これは現代と同じ桜の木だ。ということは、聖女はもしかして同じ現代からやってきた人間?
いきなりの転移で桜の木を持ってるわけないから、一度現代に戻ってまた来た?
もしかして行き来できたんじゃない……?!
「どうしましたか、リーディア」
「いえ、ユリウス様。その、恥ずかしいのですが、ホームシックになっていたようでして」
「ほーむしっく?」
「家や母が恋しくなったのです。記憶を取り戻してもうすぐ一ヶ月。私は帰れるのだろうか、って」
私がだんだん俯きがちに話していると、ユリウス様の足音が近づいてきてそして私の前で止まる。
すると、私の頭を撫でてそれから急に私を優しく抱きしめた。
「サクラはこの国でよくある木ですか?」
「いいえ、この国どころか、この世界には他にない唯一無二の木らしいです」
「──っ!」
それってこの木が聖女によって植えられた……つまり現代から持ち込まれたものの可能性がある?
「その“サクラ”はもしかして春に淡いピンクの小さな花を咲かせますか?」
「おや、リーディア。よくご存じですね、聖女様だからでしょうか」
やっぱりっ!
間違いない。これは現代と同じ桜の木だ。ということは、聖女はもしかして同じ現代からやってきた人間?
いきなりの転移で桜の木を持ってるわけないから、一度現代に戻ってまた来た?
もしかして行き来できたんじゃない……?!
「どうしましたか、リーディア」
「いえ、ユリウス様。その、恥ずかしいのですが、ホームシックになっていたようでして」
「ほーむしっく?」
「家や母が恋しくなったのです。記憶を取り戻してもうすぐ一ヶ月。私は帰れるのだろうか、って」
私がだんだん俯きがちに話していると、ユリウス様の足音が近づいてきてそして私の前で止まる。
すると、私の頭を撫でてそれから急に私を優しく抱きしめた。