王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
「それで気が済んだか? アンジェラ」

 その言葉にユリウス様と私は膝をついてその人物を迎え入れた。
 私たちの頭を優しくなでると、その人物は玉座へと向かって行った。

「誰がそこに座っていいと許可をした?」
「……王……」

 顔をあげると、そこには見たこともないほど青ざめた顔をした王妃の姿とその王妃を見る王の後ろ姿があった。

「あ……あ……」

 王妃は言葉も出ずおびえたような表情を見せている。
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