王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
数日後、帰還儀式の準備が整い、私とユリウス様は地下室にいた。
ここに来るまでに王やイレナなど、新しく関わってくれた人にも別れの挨拶をしてきた。
半月ほどではあったけれど、本当によくしてもらった。
「ユリエ、この魔法陣の真ん中に立ってもらえるか?」
「はい」
「では、儀式を始める」
ユリウス様は私が魔法陣に立ったのを確認すると、自らの手を短剣ですーっと切って、そこからぽたりと血が流れる。
「ユリウス様っ! 血がっ!」
「大丈夫です、少しの血で大丈夫ですから」
ユリウス様の血がぽたりと魔法陣に落ちた瞬間、眩い光が現れて魔法陣は光り出し、そして私を包み込んだ。
あ、もう帰るんだ。
これが最後、ユリウス様と会えなくなる……。
そう思っていると、ユリウス様が私に一歩近づいて声をかけてくる。
ここに来るまでに王やイレナなど、新しく関わってくれた人にも別れの挨拶をしてきた。
半月ほどではあったけれど、本当によくしてもらった。
「ユリエ、この魔法陣の真ん中に立ってもらえるか?」
「はい」
「では、儀式を始める」
ユリウス様は私が魔法陣に立ったのを確認すると、自らの手を短剣ですーっと切って、そこからぽたりと血が流れる。
「ユリウス様っ! 血がっ!」
「大丈夫です、少しの血で大丈夫ですから」
ユリウス様の血がぽたりと魔法陣に落ちた瞬間、眩い光が現れて魔法陣は光り出し、そして私を包み込んだ。
あ、もう帰るんだ。
これが最後、ユリウス様と会えなくなる……。
そう思っていると、ユリウス様が私に一歩近づいて声をかけてくる。