王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
「ユリエ、今までありがとうございました。一緒にいれたこの一年、楽しさだけではないけれど、いい一年でした」
「ユリウス様……」

 私の目に少し涙がたまり始めて、それがいつの間にかぽたりと落ちた。

「最後だから言います。私はあなたが好きでした」
「──っ! 共に闘う相手としてだけでなく、女性としてあなたのことが好きでした」

 その言葉は私の感情を爆発させるのに十分で、私も叫ぶように伝える。
 ああ、もうユリウス様の声も遠くなってきた。早く。早く、伝えないと……!

「私もあなたのことが好きでしたっ! 私自身を見てくださったこと、優しくしてくださったこと、嬉しかったです!」
「ユリエ……!」

 ユリウス様は顔を歪めて私が白い光に包まれるのをじっと見つめていた──
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