王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
「あ、あ、その……えっと……」
「ユリエ」
「はっ、はいっ!!」
「私があなたを好きなことは本当です。そしてあなたの気持ちも嬉しかった。ありがとう」

 私も嬉しかったです、あなたと思いが通じ合えて嬉しかった、と素直に言えばいいのに恥ずかしくて言葉がうまく出ない。

「ユリエ、これからもあなたを好きになっていいですか?」
「はい、よ、よろしくお願いします」

 私は頭を下げながら照れてお願い受け入れるのがやっとだった。


 すると、そんな中に王の側近の方が部屋を開けて、ユリウス様に声をかけた。

「ユリウス様」
「な、なんだ」

 私もそうだったが、ユリウス様も突然の訪問者に驚きちょっと困惑している。
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