王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
「何が起こってるんだ」
「叔母上のことも心配です。アルベルトにも探ってはもらっていますが、なぜか消息がつかめません」
「わかった。何かわかればすぐに連絡をしてくれ」
「かしこまりました」

 すると、国王は優しい顔つきになったあと、私に向かって話し始める。

「ユリエ、王宮での暮らしで不自由はないか?」
「あ、はいっ! 皆様によくしていただいております!」
「そうか、何かあればすぐにユリウスに言っていいからな」
「ありがとうございます!」

 隣にいたユリウス様も私の方を向くと、「遠慮なく言ってほしい」と私に告げた。



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