王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
「聖女がこの世界に来るのは何もお前が初めてじゃない。そして、初代聖女はこの国で元々召喚された」
「──っ?!」
サクラの聖樹やこれまでの書物で調べた結果から、私以外にも聖女と呼ばれる人がいたことはわかっているし、その聖女は私と同じ世界から来ている気もしていたけど、なんだかレオの言い方が気になる。
「その聖女を奪ったのはクリシュト国の連中だ。だから今度はお前を俺が奪った」
「そんな理由で?」
「…………まあ、いい。お前を愛することはないが、お前と婚約して結婚する」
「はあ?!」
思わず私はベッドから起き上がり、彼に詰め寄る。
「なんであんたなんかの婚約者に……! 私にはユリウス様が……」
「そのユリウスってクリシュト国の第二王子だろ? いいぜ、そんな男より俺を好きにならせてみせる」
「なっ?!」
そんなこと嫌に決まってるっ!って言いたかったのに、冷静な私の頭がくるくると回ってある考えに思い至った。
あれ? これもしかしてチャンスかもしれない。
隣国のスパイの手引きでクリシュト国が大変なことになったし、それに聖女召喚も詳しい魔術師がいる国なんて現代に戻るヒントが絶対何かあるはず。
そうか、それを探しだしてこの国を脱出する。
そして、私はクリシュト国に、ユリウス様の元に戻るのよ!
「──っ?!」
サクラの聖樹やこれまでの書物で調べた結果から、私以外にも聖女と呼ばれる人がいたことはわかっているし、その聖女は私と同じ世界から来ている気もしていたけど、なんだかレオの言い方が気になる。
「その聖女を奪ったのはクリシュト国の連中だ。だから今度はお前を俺が奪った」
「そんな理由で?」
「…………まあ、いい。お前を愛することはないが、お前と婚約して結婚する」
「はあ?!」
思わず私はベッドから起き上がり、彼に詰め寄る。
「なんであんたなんかの婚約者に……! 私にはユリウス様が……」
「そのユリウスってクリシュト国の第二王子だろ? いいぜ、そんな男より俺を好きにならせてみせる」
「なっ?!」
そんなこと嫌に決まってるっ!って言いたかったのに、冷静な私の頭がくるくると回ってある考えに思い至った。
あれ? これもしかしてチャンスかもしれない。
隣国のスパイの手引きでクリシュト国が大変なことになったし、それに聖女召喚も詳しい魔術師がいる国なんて現代に戻るヒントが絶対何かあるはず。
そうか、それを探しだしてこの国を脱出する。
そして、私はクリシュト国に、ユリウス様の元に戻るのよ!