王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~

第16話 虐げられた聖女

 あのーさすがに視線が痛いんですけど……。
 「第一王子の懇意にしてる女」ということで王宮内を自由に動けるようになったけど、それにしても視線が痛い。

「なんでレオ様はあんな『聖女』なんか」
「やだ……。なんで私の憧れのレオ様があんな貧相で女の色気のかけらもなさそうなやつを」

 おい、聞こえてるぞ。
 うっかりちょっと口悪くなるくらいひどい扱い、言われようにさすがに居心地が悪い。
 とりあえず書庫室がないか探さないと……。

「うわっ!」
「なにをするのですか! 全くっ! あなたみたいな『聖女』の小娘がわたくしに触れるだけでも……ああっ! 汚らわしい!!」

 明らかに偉そうな宰相っぽい人に肩をあてられて暴言を吐かれる。
 なに、このクリシュト国との扱いの違いは。
 やっぱり『聖女』が奪われたことが許せないんじゃなくて、『聖女』そのものが憎いの?
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