王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
「なっ!」

 彼に肩を抱かれる感じでしっかりホールドされている状況に、これまたなんとも居心地が悪く感じる。

「皆控えろ! 『聖女』は確かに裏切者かもしれない。だがこいつは違う」

 なんだ、かばってくれるいいところが……。

「こいつは未来の妃だぞ!」

 は……?

 その言葉に皆広間中がざわざわとしてレオに口々に問いかける。

「レオ様! それは真実でございますか?!」
「ああ」
「未来の妃ということは、つまりレオ様とご婚約なさったと」
「ああ」

 嘘言いなさいっ!!!
 そこまで許可した覚えはないわよ!!!
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