王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
 王宮をうまく出て街に差し掛かったところで、何人かの男たちに囲まれた。

「その髪と目の色……まさか伝承の聖女様じゃないか?」
「ああ、『裏切者』の聖女様だ!」

 まさか、街の外でも聖女は歓迎されないの?!

 私はひとまず彼らから逃げようとするが、男の一人に腕をねじるように強く掴まれる。

「いたっ!」

 すると、騒ぎを聞きつけた人々がやってきて私に石やゴミを投げつける。
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