王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
 ディアナも確かそんなこと言ってたな。
 魔法ってこの国で大事なことなんだ。
 じゃあ、聖女は?
 聖女も特別な存在? でも私はなんにも魔法も使えない。
 クリシュト国で聖女様って呼ばれたけど、いまだに私は自分の力がわからない。
 私はホントに聖女で特別な存在なの?

 考え込む私の頭にポンと手が置かれる。

「レオ様?」
「昔、王宮を抜け出して一緒に祭に行った子がいた。そして……」

 レオは言わなくていいことをいったように口元をぎゅっと結びながら立ち上がる。

「いや、とにかく、お前は特別だよ。力が今はなんなのかわからなくても」
「レオ様……」
< 91 / 167 >

この作品をシェア

pagetop