王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~

第18話 真夜中の訪問者

 レオと一緒にコーデリア魔法祭に行ったその夜、私は彼に与えられた寝室のベッドに座って今日のことを思い出していた。
 最初の印象はわがままな王子そのものっていう感じだったけど、なんだか今日までの様子を見て印象が変わってきている。

 聖女だからと私に害をなそうという王宮のひと達や民衆から私をかばってくれたり、ディアナ伝いで私の好きなものを知ってくれてたり。
 彼の真意がわからない、本当はいい人なの?

 そこまで考えて私ははっとして首を横に何度もふる。
 いやいや、それこそレオの思うつぼよ!

 今日はもう寝よう、歩き回って意外にも足にきてる。
 あれ? 私そんな歳だっけ?

 そう思いながらゆっくりとシーツに潜り込んで目を閉じる。
 なかなか眠れないで頭の中はぐるぐると同じことを考えてしまっていた。
 そう、私ってなんなんだろう。
 聖女なのになにもできない。なんの力もない。どうやったらその力とやらを発現できるのか、そもそも私にそんな力があるのか。
 名ばかりの聖女で、ただの異世界から来た人間というちょっと特殊なやつってだけじゃない?

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