王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
もぐりこんでいたシーツをめくって耳を澄ますと、その音はどうやら窓のほうから聞こえてきていた。
石のような軽く硬いものが何度も当たっているようなそんな音がして、私はひどく警戒しながら窓の死角にさっと潜り込んでゆっくりと顔を上げて外を見る。
「──っ!!! ユリウス様っ!!!」
そこには会いたくて仕方なかったユリウス様の姿があった。
私は慌てて窓を開けて、周りにバレないように口パクで言う。
(どうして?)
ユリウス様は私の言葉を読み取ったようで、窓から離れるようにを手振りで知らせる。
知らされた通りに少し窓から距離を取ると、鉤が窓枠に引っ掛けられた。
え、まさか上ってくる気なの?
私は驚いて再び窓から身を乗り出すと、ユリウス様は腕まくりをして壁に足をかけながら上ってくる。
お願いっ! 怪我はしないでっ!
私の願いは無事に神様に届いたようで、彼はそのままの勢いで窓から部屋に侵入してきた……や否や私に思いっきり抱き着く。
「ユリウス様っ?!」
「会いたかった……」
消え入るようなか細い声で少し震えていて、それでいて私への想いが伝わってくるそんな声。
石のような軽く硬いものが何度も当たっているようなそんな音がして、私はひどく警戒しながら窓の死角にさっと潜り込んでゆっくりと顔を上げて外を見る。
「──っ!!! ユリウス様っ!!!」
そこには会いたくて仕方なかったユリウス様の姿があった。
私は慌てて窓を開けて、周りにバレないように口パクで言う。
(どうして?)
ユリウス様は私の言葉を読み取ったようで、窓から離れるようにを手振りで知らせる。
知らされた通りに少し窓から距離を取ると、鉤が窓枠に引っ掛けられた。
え、まさか上ってくる気なの?
私は驚いて再び窓から身を乗り出すと、ユリウス様は腕まくりをして壁に足をかけながら上ってくる。
お願いっ! 怪我はしないでっ!
私の願いは無事に神様に届いたようで、彼はそのままの勢いで窓から部屋に侵入してきた……や否や私に思いっきり抱き着く。
「ユリウス様っ?!」
「会いたかった……」
消え入るようなか細い声で少し震えていて、それでいて私への想いが伝わってくるそんな声。