「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
「ええ、わかっているから何も言わないで。どうせ、女だてらに剣など振りまわすからだって言いたいんでしょう?」

 二人の表情を見ればすぐにわかるわ。

 クロードが美しい顔に渋面を作り、わたしの古傷に右の親指を這わせた。

 それからハッとしたように顔を上げ、指をはなした。

「いや……。とにかく、「剣聖」と異名を持つおまえにここまで手傷を負わせるとは、どこのどいつだ?」

 クロードは、不自然に話題を元に戻した。

 すると、ロランが急にうつむいて居心地悪そうにしはじめた。

 めくり上げた袖をもとに戻す。

 ロランは、チラチラとわたしをうかがっている。
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