「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 クロードは、やさしい笑みとともに手を伸ばしてわたしのそれを握った。それも一瞬のことで、すぐにはなれてしまう。

 だけど、すごくあたたかかった。やさしかった。

「コンスタン、ありがとう。物乞いの要望通り、会いに行くとしよう。コンスタン、それと……」
「承知しております、将軍閣下」
「ありがとう。おれはあなたに餌付けされているからな。頭が上がらんよ」

 クロードは、屋敷に居座っている物乞いの正体やここできいたことを黙っていてほしいと暗に伝えた。
 調理兵長は、言われなくても承知しているのね。
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