「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
あの日、あの夜
クロードと屋敷まで肩を並べて歩いていると、彼がめずらしく言いにくそうに口を開いた。
「リン、さっきの傷のことだが……。どういう理由で傷を負ったのか、きいていいか?」
「いいわよ。別に隠すほどのものじゃないから。あれは、あなたをぶん殴るすこし前よ。お兄様が戦地から戻ってきたの。何の前触れもなくね。それ以前から、お兄様には練習用の剣を使って何度か教えてもらっていたの。お兄様が不在のときにはわたしが家族を守るんだって、なぜか使命感に燃えていたわ」
「女だてらに。それから、ガキのくせに」
クロードが隣から茶化してきた。
最近、彼はんな冗談を言ってくる。って、冗談だと思っているんだけど。
「リン、さっきの傷のことだが……。どういう理由で傷を負ったのか、きいていいか?」
「いいわよ。別に隠すほどのものじゃないから。あれは、あなたをぶん殴るすこし前よ。お兄様が戦地から戻ってきたの。何の前触れもなくね。それ以前から、お兄様には練習用の剣を使って何度か教えてもらっていたの。お兄様が不在のときにはわたしが家族を守るんだって、なぜか使命感に燃えていたわ」
「女だてらに。それから、ガキのくせに」
クロードが隣から茶化してきた。
最近、彼はんな冗談を言ってくる。って、冗談だと思っているんだけど。