「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 気がつくと、二人とも足が止まっていた。

 クロードがわたしを見ている。だから、わたしも見返した。

 屋敷の裏口から入るつもりなので、木々の間を通っている。

 陽光は木々の枝葉にさえぎられてしまっていて、朝だというのにうす暗い。

「剣のことはともかく、あの日は何もかもがおかしかったわ」

 静寂が耐えきれず、というよりかは無言で見つめ合っているドキドキに耐えきれず、とりあえず口を開いた。
< 155 / 310 >

この作品をシェア

pagetop