「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
「しばらく、このままでいてくれないか」

 彼は、一呼吸おいてから続けた。

 わたしに異存があるわけもない。

「ええ」

 かろうじてその一言が唇の間から落ちた。

 彼にきこえたかどうかはわからない。

 わたしたちは、しばらくそのままの状態でおたがいの存在を感じ合い、ぬくもりを分かち合った。   
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