「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 気迫?雰囲気?オーラ?

 とにかく、「これが違う」と特定は出来ない。だけど、確かに何かが違うのである。

「これは、驚いたな。ディアーヌ、それからリン。わが妹たちじゃないか」

 お兄様は、わたしたちがここにいることを知っているくせにわざとらしく言った。

 渋美しい顔には、やわらかい笑みが浮かんでいる。

 その笑顔は、幼い頃のわたしの慰めだった。

 お転婆ばかりして両親や姉や侍女や執事たちから怒られたわたしに、お兄様はいつもやわらかい笑みをたたえて慰めてくれた。
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