「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
「外野がうるさいな。まあいい。どうする、『ひきこもり王子』?おいおい、無言を貫くなんてよしてくれよ。きみを知っているんだからな。ロランに剣を指南していたとき、きみは物陰からそれをじっと見つめていただろう?きみは天才だ。ちがうか?文武共に、見るだけである程度覚えられる。あとは、覚えたことを練習すればいい。あるいは、反復すればいい。きみはひきこもっている間、あらゆる学問や剣や体術を習熟した。わたしは、そのことを知っている。だから、わたしの前で『ひきこもり王子』を演じるのは無駄なことだ。それとも、有無を言わさずこれで語り合った方が分かり合えるかな?」

 お兄様は、右手で腰のあたりを軽く叩いた。

 そのときになってはじめて、彼が腰に短くて幅広の戦闘用ナイフを装着していることに気がついた。

 お兄様は、剣だけでなく刃物はなんでもお手の物に違いない。
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