「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 ロランは人っ子一人いない屋敷内を奥に進み、ある部屋の前で足を止めた。

「妃殿下、こちらは書斎です」

 彼はこちらに向き直り、手で部屋を示した。

 ドキリとした。いよいよあたらしい夫に会うのである。

「ひきこもり王子」は、書斎にひきこもっているわけね。

 それにしても、侍女とか執事とかいないわけ?

 ここに来てから人間(ひと)の姿をまったく見ていない。
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