「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 お兄様は、それを馬上で察知してわたしといっしょに落馬し、自分の右腕を伸ばしてわたしをこの石からかばってくれたんだわ。

「お兄様、ごめんなさい」

 ついさっきまでのやり取りなど、すっかりふっ飛んでしまっている。

 目に涙が勝手に溢れてきた。そこまできたら、止める術はない。

 ポロポロと落ち、頬を伝っていく。
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