「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
「あの日、あの夜……」
自分でもバカだと思った。
さっさと逃げればいいのに、そんなことを口走っていた。
このまま彼の左手を振り払い、森の中に逃げ込めばいいのに。背中が痛いけれど、全速力で走れないわけではない。馬の足にかなうわけはないけれど、森の中だったら茂みもある。うまくいけば、木に登ってやりすごせるかもしれない。
お兄様とこれ以上いっしょにはいられない。
クロードのところに、彼のもとに帰るのよ。
自分でもバカだと思った。
さっさと逃げればいいのに、そんなことを口走っていた。
このまま彼の左手を振り払い、森の中に逃げ込めばいいのに。背中が痛いけれど、全速力で走れないわけではない。馬の足にかなうわけはないけれど、森の中だったら茂みもある。うまくいけば、木に登ってやりすごせるかもしれない。
お兄様とこれ以上いっしょにはいられない。
クロードのところに、彼のもとに帰るのよ。