「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 先程のお兄様の告白は、わたしには衝撃的すぎた。それから、過酷すぎた。

 それでも、いまの状況をどうにかしなければならないという理性はある。

 だから、手綱を取ろうとするならわたしの右手首を開放しなければならない。そんな単純明快な答えは導き出せた。

「わ、わかったわ」

 お姉様のように涙を操るのよ。

 昔に比べ、すこしは涙腺がもろくなっていることを利用し、いろんな悲しい出来事を思い出してみた。
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