「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 だけど、どれもこれも涙が出るほど口惜しかったのは確かよ。

 だからこそ、わたしは見返してやる為に必死でやった。料理は調理兵長から特訓してもらったし、洗濯は軍の洗濯マスターの教えを乞うた。掃除にいたっては、屋敷のみならず官舎もしまくった。とくに窓はガラス拭きだけでなく桟も専用のブラシを作り、試行錯誤を繰り返して完璧に埃を取り除いた。

 だからこそ、いまのわたしがある。

 家事は完璧、のはずよ。
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