「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 ふんっと鼻を鳴らした。

 っていうか、こんなこと言うつもりなかったのに。

 ただ単純に「助けに来てくれてありがとう。うれしかったわ」って言いたかったのに。

 あっ、それから余裕があれば「カッコよかったわよ」も添えたかったのに。

「なんだと? あれがおれの戦法だ。フラフラして油断させるんだ」
「はいいいいいい? 嘘ばっかり。それに林で子どものときにケガを負ったときの話をしたでしょう? 真実に気がついたのに、教えてくれなかったわよね?」
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