「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
「ですが、兄はそうではない。こう見えて、真面目なのです」

 クロードは、ますます赤くなってうつむいている。

「じゃあなに? 二度目に会ったとき、わたしは初対面だと思い込んでいたけれど、あのとき、いかにも初対面みたいに演じていたわけ? それで、罵倒しまくった挙句に侍女をさせたわけ?」
「だ、だから、それは……。すまない。急にきみが現れたから、心の準備が出来ていなかったんだ。だから、つい……」
「態度が急変したのはどういうことなの? 屋根裏部屋で話して以来、急にやさしくって親し気になったわよね? まあ、ことあるごとにケンカはしているけれど」
< 296 / 310 >

この作品をシェア

pagetop