「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 本性をあらわしたら、このあとどうなるかわからない。

 まだ一人で生きていけるだけの度胸も気力もスキルもない。料理人をするかメイドをするか家庭教師をするか、とにかく一人で生きていけるだけのスキルを身につけなければ。

 それまでは、だれかの言いなりにならなければならない。最低限、自分を装い、違う自分を演じ続けなければ。

 頭の中で深呼吸をしてみた。実際にするわけにはいかないから。

 それから、やはり頭の中で数を数えた。こうして、いつも感情をおさえるの。
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