「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました
 将軍は視線を合わさないどころか、わたしがここに存在していないと思い込むことにしたらしい。

 さっさと席についてしまった。

 ロランは、わたしをチラチラ見ながら将軍の真向かいの席につく。

 わたしもいっさい口をきかなかった。それこそ、侍女としての挨拶すらしない。

 ただ黙々と給仕に徹する。

 将軍は美しすぎる顔に渋面を作りつつ、テーブル上の料理を睨みつけている。
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