わたしのスパダリな婚約者




「何か困っていることはないか?」


「困っていること、ですか?」



小首を傾げて考えてみるものの特にこれといったことはない。強いて言えばもうすぐある秋の社交界デビューのために体型を維持しろ、むしろ痩せろと言われたことだろうか。


さすがに淑女としてそんなことを婚約者に言えるはずもなく特にはないと笑顔で返す。のだけどクリス様は不服そうなご様子。何かあったのかしら。


心配になって執拗にならないように気をつけつつあれこれ聞いてみると苦笑されてしまった。あら、でも機嫌は少し回復したかしら。



「いや、君は君だなと思っただけだ。そこが好ましくもあったが……駄目だな。自分の我儘だとは理解しているがもう少し頼られたいと思ってしまう」


「まぁ、わたしはクリス様にいつも頼りきりですわ」



寧ろ負担になっていないかと考えてしまうレベルなのだけど、ご自覚がないのだろうか。



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