わたしのスパダリな婚約者
「今度の社交界のドレスや宝飾品も全てクリス様にお任せしてしまいましたし……」
「あぁ、それは私も楽しんだから気にしなくてもいい」
………楽しんだ、とは。
聞き間違いだろうかと目を瞬かせるとそれを見て柔らかく表情を崩すクリス様の姿にいつもと違う雰囲気を感じてそわりと心が揺れる。
「リーレ。君を着飾らせることができるというのはとても楽しいし、良い気分になる」
………………………。
「…………………そう、なのですか?」
「あぁ」
「………………そうですか」
よくわからないけれど負担になっていないようならよかったと納得しておこう。
「君が私の色を纏って隣に立つ日を、私が待ち遠しく思っているのだと覚えていてくれ」
「……………は、い」
やっぱり今日の婚約者様はいつもと違う。