わたしのスパダリな婚約者
のんびりとそう返すと複雑そうに笑う姿に嫌味っぽかったかしらと眉尻を下げる。しかしわたしも実際そう思っているのだから他に言いようもない。
むしろ他の人からしたらメルティ様の考えの方が普通な気がする。どう考えてみてもわたしのようなぱっとしない存在よりもメルティ様のような才女の方がクリス様の隣には相応しい。
「我ながら子どもっぽいと思いつつも八つ当たりをしようと思ってリーレ様に声をかけたのですけれど……お話できてよかったですわ」
「わたしも、メルティ様とお話できてよかったです。また一緒に楽しくお喋りしましょうね」
「……そう言うところに、惹かれたのでしょうね」
さっきまで翳りのあった様子はなく、むしろ晴れやかな表情で微笑む姿が眩しくて見つめていると、照れたように頬を染める姿にあらあらとこちらまでニコニコしまう。
わたしが言うことでもないだろうけれど、恋を知った女の子は強い。例えその恋が実らなかったのだとしてもそれを糧にできる彼女は愛らしさだけではなく凛とした魅力を新たに得たのだと思う。
今回はほんの少しだけ暴走してしまったのだとしても…これを暴走と言ってもいいのかわからないけれど、もともととても心根の優しい善良な女の子なのだろう。
わたしとしてはこのまま詰られて婚約解消しろと言われても不思議はなかったし、仕方ないなぁと思っていたのだけれど。
「自己評価が低いのですね」
「……………???」