わたしのスパダリな婚約者
兎にも角にもそんな感じであるがままを受け入れてのんびりと過ごしてきたのがわたしという人間である。
「すまない、待たせてしまった」
「いいえ、大丈夫ですわ」
どうやら待ち人がやって来たらしく少し急足で来た麗人を笑みを浮かべて迎えいれる。
陽の光を受けてキラキラと輝く金色の髪に森の緑を煮詰めたような緑柱石の瞳、シミひとつない肌に中性的な美貌を持つこの方がなんとわたしの婚約者だ。うーん、こんな美形がわたしの将来の旦那さんになる人だなんて、世の中は不思議に満ちている。
まぁ実際のところは家同士の繋がりやら社交界のパワーバランスやら家格云々の丁度いい年回りやら色々な要素があってのことだろうけどそこまでは知らない。わたし、地の頭良くないので。
いつ見ても何をしていても様になる人だなぁとのほほんとしながら席に着く麗人を眺める。
そして何を隠そう、この目の前の男性こそがわたしが前世を思い出すきっかけとなった人だ。