わたしのスパダリな婚約者
「リーレは……私が彼女から告白されたのは聞いているか…?」
「えぇ、噂にもなっていましたし、実際に見ていましたので」
「……………見てたのか」
あ、と思ったものの自分から覗き見を暴露してしまいちょっと気まずい……いえ、わざとではないし偶然見てしまっただけですぐに離れたのですけれど。はしたないと思われてしまったかしら。
内心でオロオロしつつもどういう反応を返せばいいのかわからなくて途方に暮れてしまう。しかしわたしよりも顕著な反応をしたのはクリス様の方ですぐにそれも困惑に変わってしまった。
ぐったりとした様子でテーブルに突っ伏す姿なんて初めて見た。今日はなんだかいつもよりも年相応の婚約者様が見られている気がする。
「クリス様?」
「…………私が振った相手が婚約者と一緒に話をしているようだと聞かされれば何か心無いことを言われたのか、それともされたのではないかと心配にもなるだろう」
小声で、しかも早口で言われたのですぐに理解が追いつかなかったけれど、どうやら我が婚約者様はわたしのことを心配してくれたらしい。