わたしのスパダリな婚約者



きゃあきゃあとわたしを肴に盛り上がる2人の様子にこれはもう止めることは無理だなともはや諦観すら浮かんでくる。



「それにしてもまさに小説みたいですわね!まさかあのスパダリさはリーレのために努力した結果だなんて…愛ですわ!!」


「まぁリーレ様の隣に立つのならばそのぐらいは当然だと思いますけれど」



どうやらここにもわたしを美化している人がいたみたいだぞと嬉しくない発見をしつつ、本当にそろそろこの話はやめてくれとお願いしてなんとか話題を逸らす。


2人とお喋りをするのは楽しいけれど、クリス様のことを持ち出されるとうまく対応できなくて、心臓があっちこっち跳ねてしまってへとへとになってしまう。嫌ではない、のだけれど…


これまではクリス様と他の誰かのことだからと微笑んで聞いてこれたのだけれど、それが自分が当事者になってしまうとこうなってしまうのかと自分でも驚いてしまう。


でも今はクリス様が現実に生きている、わたしと同じ人間なのだと気づいてしまったのだから、もうあの時のように他の女の子とのことを笑って聞くことは難しいのだと思う。少なくとも何かしらは嫌な思いを抱くのではないかしら。


気づくまでやっぱり二次元的な存在としか見ていなかったことはちょっと悪いことをしてしまったかしら、と反省している。



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