わたしのスパダリな婚約者
遡ること7年前、わたしたちが10歳の時に婚約者だよと引き合わされたクリス・ドゥ・パスカート様は十人中十人が振り返るような大変な美少年で、もはや同じ人間とは思えないほどの天使然とした少年だった。
とっても綺麗な子だなぁ、こういう子のことをなんていうんだっけ?こう、ものすごくしっくりくるような言葉を知っている筈なんだけどもやもやして出てこないなぁ、なんて思いながら初対面を終えてその日の夜うとうとしながら思い出した。
そうだ、確か前の時に妹が言っていたんだ。
「二次元が飛び出て来たみたい……」
なるほど納得、確かに現実とは思えないぐらい綺麗な男の子だったもんね。うんうん、すっきりしたなぁと眠りについた翌日に改めて昨日の言葉を思い返して自分が経験したことのないはずの記憶があることを自覚した。それが前世であるとすんなりと受け入れてそれからも変わらずにのんびり生活して現在に至る。
昔からそれこそ二次元から飛び出て来たみたいな綺麗な子だったけど、成長した今も変わらずに整った顔立ちをしている。まさに二次元が理想のまま二次元として現実に君臨している。何気ない仕草にもキラキラエフェクトが舞っているように見えてしまうのだから困ってしまう。