あやかし学校
「なにを……!?」


銀太がすべてを言うより先に、僕はひょうたんを銀太の手から叩き落としていた。


ひょうたんが銀太の手から滑り落ちる。


それはまるでスローモーションのような出来事だった。


ひょうたんが音を立てて落下して、ピキッと小さくヒビの入る音が混ざった。


吸い込む風がやんだかと思うとテケテケが咆哮を上げ、怒りを顕にする。


そして次の瞬間……パァンッ! と、最も大きな音が響いてひょうたんが破裂したのだ。


破裂した箇所から強烈な風が吹き荒れて竜巻のように渦巻く。


僕と金子と銀太は体を寄せ合ってしゃがみ込み、飛ばされないように必死だった。


ゴォォォォ! と吹き荒れる風は徐々にやみ始めて、ようやく目を開けることができた。


そこにいたのは、今までひょうたんに閉じ込めてきた怪異たちだった。


座敷わらしに美術部の先輩、料理人を目指した3人組の生霊。


それらが無表情で立っている。


「まずいことになった……」


これだけの怪異が一気に溢れだしたら、学校中がパニックになるどころでは済まされない。


暴れだす前にどうにかしないといけないが、ひょうたんは壊してしまった。


この怪異たちを鎮める方法はどこにもない。
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