あやかし学校
「ふはははは! よくやってくれたな! 私の仲間を返してくれたのか!」


テケテケが大きく口を開けて笑う。


怪異たちが戻ってきてひときわ勝ち誇った声をあげる。


その時だった。


ツンッと鼻腔を刺激する匂いがして僕は顔をしかめた。


でもつい最近どこかでかいだことのある匂い。


これは……絵の具だ。


出てきた怪異のひとつ、美術部の先輩へ視線を向ける。


先輩は一緒に吸い込まれていったカンバスの前で頬を紅潮させ、笑顔を浮かべている。


「できた! ついにできたよ!」


それは想像よりもずっと可愛らしい声だった。


先輩は筆を握りしめている右手を振り上げて喜んでいる。


どうにか回り込んでカンバスの絵を確認してみると、そこには完成した学校の絵が描かれていた。
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