あやかし学校
「すごい！　これが銀杏シェフスリーの料理なんだね！」


そう言うと、飛び回る包丁たちが嬉しそうにクルクルと回ってみせた。


音楽室にいた座敷わらしは「ここが自分の新しい居場所」だと言わんばかりに真っ先にテーブルに座っている。


予想外の出来事を目の前にしてテケテケも混乱しているのが、さっきから口を開けてなにも言えずにいる。


「でもどうして？　ひょうたんの中に入ったら溶けるんじゃあ？」


聞くと、銀太と金子は同時に左右に首を振った。


もうふたりは立ち上がることもできないほどに力を消耗している。


「溶かす必要なんてない。ひょうたんの中で、自分のやりたいことをすればいいの」


金子と銀太はひょうたんの中に怪異たちの居場所を作ってやっていたのだ。


それなのに僕はとんだ勘違いをしていた。


そもそも、ふたりは变化しているだけであって、本物の金角銀角ではない。


ふたりが、自分が助けたキツネだとすぐに気がついていれば、こんな勘違いは起こらなかっただろう。


自分の不甲斐なさを後悔していると、ふいにテケテケが咆哮した。


さっきまでは勝ち誇った顔をしていたのに、今ではまた目を吊り上げている。


仲間たちの変化に気がついたからだろう。


「貴様らは私の仲間だ！　人間なんか許すんじゃない！」
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