あやかし学校
「どけろ! 人間!」
テケテケの声がひときわ大きく、廊下中に響き渡る。
それは脳を揺らして痛みまで伴う凄まじい声だった。
だけど僕は両足でどうにかふんばってその場に留まり続けた。
傷ついた太ももはジクジクと痛むけれど、気が付かないふりをした。
「西村……どうしてそこまで?」
銀太の弱々しい声が聞こえてくる。
「お前達、あのとき助けたキツネだろ? 全然気が付かなくてごめんな」
それに対する返答はなかったけれど、僕はその沈黙を肯定と受け取った。
「お礼しにきてくれてありがとう。それに、僕みたいなヤツが助けて悪かったよな」
もっと普通の人がキツネを助けていれば、こんな厄介事に巻き込まれることだってなかったんだと思う。
「そんなことない!」
言ったのは金子だった。
「あのとき私、本当にもうダメだと思ったの。あの大木から落ちてきた雪はとても重たくて、自分の力じゃどうしようもなくて……。どれだけもがいても全然抜け出せないし、朝が来たことは匂いでわかったけれど、雪の中は真っ暗で冷たくて寂しくて……」
テケテケの声がひときわ大きく、廊下中に響き渡る。
それは脳を揺らして痛みまで伴う凄まじい声だった。
だけど僕は両足でどうにかふんばってその場に留まり続けた。
傷ついた太ももはジクジクと痛むけれど、気が付かないふりをした。
「西村……どうしてそこまで?」
銀太の弱々しい声が聞こえてくる。
「お前達、あのとき助けたキツネだろ? 全然気が付かなくてごめんな」
それに対する返答はなかったけれど、僕はその沈黙を肯定と受け取った。
「お礼しにきてくれてありがとう。それに、僕みたいなヤツが助けて悪かったよな」
もっと普通の人がキツネを助けていれば、こんな厄介事に巻き込まれることだってなかったんだと思う。
「そんなことない!」
言ったのは金子だった。
「あのとき私、本当にもうダメだと思ったの。あの大木から落ちてきた雪はとても重たくて、自分の力じゃどうしようもなくて……。どれだけもがいても全然抜け出せないし、朝が来たことは匂いでわかったけれど、雪の中は真っ暗で冷たくて寂しくて……」