あやかし学校
☆☆☆

ようやく帰宅してきた僕はベッドに仰向けになり大きく息を吐き出した。


長い長い一日がやっと終わった気分だ。


朝から幽霊に絡みつかれて、普段ならそれで終わるところが音楽室でも感じてしまった。


「音楽室にとどまっていられたら嫌だなぁ」


ごろんと寝返りを打ってつぶやく。


僕にとって音楽室はとても大切な場所で、唯一幽霊を忘れることのできる場所でもある。


その音楽室にあれ程感じる幽霊がいるとなると、簡単には使用できなくなってしまう。


「今日はやけに幽霊の数も多かった気がするしなぁ」


単なる勘違いかもしれないけれど、普段よりも多かった気がする。


周囲の浮遊霊だちがまた学校に集まってきているのかもしれない。


重たい気分になったとき、僕は勢いよく起き上がった。


こうしてグズグズ考えているのは、それこそ幽霊の思うつぼだ。


幽霊は人間の弱い心に漬け込んでくる。


「気分転換!」


大きな声を出してクローゼットから着替えを取り出すと、そのまま風呂場へと向かった。


お気に入りの入浴剤を湯船に入れて、塩入りのボディーソープで体を洗うと心も体もスッキリとした気分になる。


昔から塩にはお清めの効果があると言われているし、僕はそれを信じていた。


「今度は甘い香りのボディソープにしてみようかな」


鼻歌交じりに体を洗いながら、そう呟いたのだった。

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