あやかし学校
佳苗は左右に首を振った。


「誰もいなかったんだって。ただ、包丁だけが飛んできたんだって」


「包丁だけが?」


そんなことあるはずがない。


「だけどその女子生徒たちがあまりに真剣に相談してきたから、念の為に集団下校することになったんだって」


「そんなことがあるんだな」


その子たちのことをよく知らないからなんとも言えないけれど、ただの狂言としか思えない。


それで部活がなくなった生徒たちはさぞ怒っていることだろう。


「それで、真っ直ぐ帰るんだよね?」


質問を戻されて左右に首を振った。


集団下校の理由を聞けばどうってことはなさそうだ。


「いや、今日は残ってピアノを弾いてから帰るよ」


昨日弾くことができなかったから、少しうずうずしている。


「そっか。わかった、気をつけてね」
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