あやかし学校
ふぅと、耳元で呼吸音が聞こえてきた。


なんの感覚もないのに、背中にズシリと重たいものが乗しかかってくる。


それは物体ではなく、ただただ重たい空気だった。


今、僕の背中に覆いかぶさってきているのはなに……?


怖くて確認することができない。


でも、このままじゃ自分がこの幽霊に取り込まれてしまうかもしれない。


どうにかしないと……!


グッと奥歯を食いしばり、どうにか体を動かそうと試みる。


しかし、動こうとすればするほど金縛りは強くなり、更に僕の体を押さえつけはじめた。


ダメだ。


本当に、このままじゃ……!


焦りと重みで呼吸が絶え絶えになった、そのときだった。


ガラッと音がして目の前のドアが開いたのだ。


「あ~あ、派手にやってるなぁ」


呆れた声に、2人分の足元がみえた。


「本当だ。だけど可愛い座敷わらしね」


少女がそう言って僕の前に膝をついてしゃがみこんだ。


金子だ。
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